公的介護保険制度
日本は、国民の4人に1人が65歳以上という超高齢化社会であり、その65歳以上の約5.6人に1人が要介護(要支援)と認定される時代です。
公的介護保険で、要介護・要支援と認定されている方は2015年4月現在で約607万人です。
公的介護保険がはじまった2000年と比べ、約2.8倍に増加しています。
1年間でお亡くなりになる方は約127万人(2014年度、厚生労働省「2014年人口動態統計」)ですので、いかにたくさんの方が介護を必要とされているかです。
介護サービスは待っているだけでは利用できません。
2014年に1,590万人だった75歳以上の人口は、団塊の世代が後期高齢者になる2025年には2,179万人に達します。
介護費用は2025年度には約21兆円に膨らむ見込みです。
高齢者の介護を高齢者が行う「老老介護」の問題も深刻になってきています。
介護状態になってもQOL(生活の質)を維持するために、事前に経済的な準備が必要となってきます。公的介護保険は、公費と被保険者(原則40歳以上の人)の保険料を財源として、介護が必要となったときに市区町村による認定を受け、費用の一部を利用者が負担して介護サービスを受ける社会保険制度です。
公的介護保険は基本的に「保険事業を行う保険者」「保険に加入する被保険者」「サービスを提供する事業者」の3者で構成されています。この保険事業を行う保険者は、加入者である被保険者が住んでいる市区町村です。
公的介護保険に加入して保険料を支払い、保険の給付(介護サービス)を受けられる人のことを「被保険者」といいます。
被保険者は年齢によって次の2通りに分かれます。
65歳以上の人は第1号被保険者
日本に住む65歳以上の人が第1号被保険者です。
第1号被保険者は市区町村ごとに決められている所得段階別の定額の保険料を負担します。
40歳以上65歳未満で公的医療保険に加入している人は第2号被保険者
日本に住む40歳以上65歳未満で公的医療保険に加入している人が第2号被保険者です。
第2号被保険者の保険料は医療保険料とあわせて徴収されます(健康保険等は労働者と事業主が折半)。
公的介護保険の保険料負担
公的介護保険は40歳以上の方が加入・保険料を負担し助け合う制度で、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~64歳)とでは、それぞれ保険料の仕組みが異なります。
39歳以下の方は制度の対象外です。
① 第1号被保険者
第1号被保険者の場合、各市区町村は3年ごとに保険料の見直しを行います。そして保険料は市区町村ごとに異なります。
保険料の納付方法は、受給する公的年金額により、特別徴収と普通徴収の2種類があります。
第1号被保険者の全国平均保険料(所謂基準額)の推移
② 第2号被保険者
第2号被保険者の保険料は、被用者保険ではそれぞれの被保険者が所属する公的医療保険(健康保険、共済組合等)ごとに定められた保険料率と給与等によって算出されます。算出された介護保険料は、医療保険料に上乗せする形で給与から天引きされます。
国民健康保険においては、各市区町村の計算方法により算出され、国民健康保険料に上乗せして徴収されることになります。
大阪市の介護保険料(令和6年度~8年度)についてはこちら
介護を受けられる人
公的介護保険の保険給付を受けるには、所定の要介護状態または要支援状態にあることの認定を受ける必要があります。
(※1)事故等は公的介護対象外
(※2)16種類の特定疾病
① 筋萎縮性側索硬化症
② 後縦靭帯骨化症
③ 骨折を伴う骨粗しょう症
④ 多系統萎縮症
⑤ 初老期における認知症
⑥ 脊髄小脳変性症
⑦ 脊柱管狭窄症
⑧ 早老症
⑨ 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
⑩ 脳血管疾患
⑪ パーキンソン病関連疾患
⑫ 閉塞性動脈硬化症
⑬ 慢性関節リウマチ
⑭ 慢性閉塞性肺疾患
⑮ 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
⑯ がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)
介護保険サービスのしくみ、種類について
介護保険法では、原則、被保険者にサービス費が給付されることになっていますが、国保連に給付を代理受領(指定サービス事業者の利用)させることで、現物給付の形でサービスを受けられる仕組みになっています。
現物給付と償還払い
介護保険給付には、現物給付と償還払いがあります。
現物給付は、原則1割(収入により2~3割)の自己負担を支払いサービスを受けることができます。
償還払いは、利用者がサービス事業者に代金を全額支払ったあと、その費用を保険者に請求し、7~9割の還付をしてもらう仕組みです。
介護保険サービスの種類
介護保険給付には、「介護給付」(要介護1~5)「予防給付」(要支援1・2)「市町村特別給付」の3つがあります。
介護保険サービスは要介護度によって受けられるサービスが異なります。
要介護1~5と認定された人は、在宅サービスと施設サービスのどちらかを選択できます。
要支援1・2と認定された人は、介護予防を目的としたサービス(原則在宅サービス)を受けます。
非該当と認定された人でも近い将来、支援が必要になる人もいるので、一定の要件を満たすことで市町村の実施しているいくつかのサービスを受けられる場合があります。
・訪問介護 ・訪問入浴介護 ・訪問看護 ・訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 ・通所介護 ・通所リハビリテーション ・短期入所生活介護 ・短期施設入所者生活介護 ・短期入所療養介護 ・特定施設入所者生活介護 ・福祉用具貸与・特定福祉用具販売 ・共生型訪問介護 ・共生型通所介護 ・共生型短期入所生活介護
特例居宅介護サービス費
地域密着型介護サービス費
特例地域密着型介護サービス費
施設介護サービス費
高額医療介護合算介護サービス
地域密着型介護サービス費
介護予防住宅改修費
介護予防サービス計画費
高額医療合算介護予防サービス費
・おむつの支給 ・移送サービス ・通所サービス ・配食サービス
その他
要介護認定の流れと要介護区分について
介護保険サービスを受けるための認定を「要介護認定」といいます。
介護保険給付は介護給付(要介護1~5)と予防給付(要支援1・2)の7段階で判定します。
介護が必要になったら市区町村の窓口に申請をします。
市区町村に地域包括支援センターが設置されており、無料で相談・支援が受けられます。
要介護(要支援)認定は、介護の必要量を全国一律の基準に基づいて、客観的に判定する仕組みで、1次判定及び2次判定の結果、市区町村が要介護認定を行います。
・1次判定・・・市町村の認定調査員による心身の状況調査(認定調査)及び主治医意見書の結果が全国のコンピューターソフトによって介護の時間におきかえられます。
・2次判定・・・有識者によって、コンピューターによる判定が適切かどうか判断されます。
・介護認定審査会・・・2次判定は介護認定審査会で決定されますが、人数は原則1組5人。
介護サービスを受けるためには、市区町村から認定を受けなければなりません。
認定とは、「要介護」か「要支援」です。
通常、認定の申請から結果は30日以内に通知されるようです。
認定が受けられない場合、「非該当(自立)」と判定されます。
要介護または要支援と認定をされると、介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、利用開始となります。
「要介護認定はどのように行われるか」
厚生労働省HPはこちら
地域包括支援センター
4つの基本的業務
地域包括支援センターは、公正・中立な立場から、
地域に、総合的なサービスネットワークを構築します。
②総合相談支援・権利擁護
高齢者の困ったことに対して、訪問して実態を把握し、必要なサービスや制度を紹介し、解決に導きます。
また、金銭的搾取や詐欺から身を守るための成年後見制度の活用をサポートしたり、虐待の防止など、高齢者の権利を守る取り組みをしています。
③包括的・継続的ケアマネジメント
高齢者に対して包括的かつ継続的なサービスが提供されるよう、地域全体の医療・保健・介護分野の専門家から地域住民まで幅広いネットワークをつくり支援すること。
④介護予防ケアマネジメント
要支援認定を受けた高齢者に対する介護予防ケアプランの作成等を行います。
という4つの機能を担う地域の中核機関です。
エリア・・・市町村ごとに担当エリアを設定
職員体制・・・保健師(又は地域ケアに経験のある看護師)、主任介護支援専門員、社会福祉士の3つの専門職種又はこれらに準ずる者
(出典)厚生労働省
介護離職の防止
介護離職の防止を図る観点から、地域包括支援センターの土日の開所、電話相談等による相談体制の拡充等の推進がされています。
(出典)厚生労働省
介護保険施設における負担限度額について
令和3年8月から在宅で暮らす方との食費・居住費にかかる公平性や負担能力に応じた負担を図る観点から一定額以上の収入や預貯金等がある人には、食費の負担額の見直しが行われています。
以下のようになっております。
*生活保護受給者や老齢福祉年金受給者等の負担額は、食費・居住費とも以前のまま(390円、650円)です。
*預貯金に含まれるものは、「預貯金」「有価証券」「金・銀」「投資信託」「現金」で、含まれないものは、「生命保険」「車」「腕時計」「宝石」「絵画」等です。
高額介護サービス費
介護というのは終わりがなく「ここまですればいい」というものではありませんので、いくらでも介護サービスを受けることができてしまいます。
つまり、費用に歯止めがきかなくなりますので、財源には限りがあるので上限が設けられています。
要介護度の目安・支給限度額について
公的介護保険の在宅サービスを利用するときは、要介護(要支援)認定の区分(7段階)に応じて、介護サービスの毎月の限度額が決められています。
利用するときは、費用の1割~3割を負担します。(65歳以上で一定以上の所得者の自己負担割合は、2割または3割です)
支給限度額を超える分は、全額自己負担となります。
●居宅サービスの1ヵ月あたりの自己負担限度額
※実際の自己負担額(1割負担)の実績平均額は要介護5で約35万円ほどとのことです。
※利用できるサービス内容等は、各市区町村によって異なります。また、高額介護サービス費等は考慮しておりません。
この自己負担額の合計が1か月で高額になったとき適用されるのが「高額介護サービス費」です。
「要支援1~要介護5」に対するサービスに年収区分があります。
本人の所得や世帯の所得によって決まる月々の負担額上限を超えた金額が市区町村から申請書が送付されてきますので、手続き後に払い戻されます。
負担額の上限は以下の表になります。
※上表の年収について・・・介護サービス利用者または同一世帯に課税所得380万円(年収約770万円)以上の65歳以上の人が対象となります。
(出典)厚生労働省
高額介護サービス費の対象外
・限度額を超えたサービス
・住宅改修費
・特定福祉用具購入費
別途、公的介護保険制度の支給対象となるものがあります。
(出典)厚生労働省
高額医療・高額介護合算制度について
高額医療・高額介護合算制度とは、医療保険上の世帯を単位として、被保険者全員が1年間(毎年8月~翌年7月)に支払われた公的介護保険の1~3割の自己負担額と医療保険の1~3割の自己負担額の合計額などが基準額を超えた分が公的介護保険と医療保険の自己負担比率により払い戻されます。
市区町村への申請が必要となります。
このうち、公的介護保険から支給されるのが「高額医療合算介護サービス費」、医療保険から支給されるのが「高額介護合算療養費」です。
高額療養費と高額介護サービス費によって、医療費と介護費の自己負担額は低く抑えられているので、実際に合算制度を利用するほど費用が高額になるのは稀なケースではありますが、それぞれで適用を受けられなかった場合でも支給が受けられる可能性があります。
基準の詳細は、大阪市ホームページでご確認いただけます。
協会けんぽのHPはこちら
*要介護(要支援)認定者数
(出典)厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)令和6年5月分」
赤マルや色付けは弊社で行いました。
※ボリュームゾーンで見ても3割負担と1割負担の差が大きいです。ここからも老後に収入(年金の繰下げや不動産収入等)を増やし過ぎると・・・
介護にかかる費用のイメージ
公的介護保険の支給限度を超えたサービス。
居宅介護サービスと地域密着型介護サービス、福祉用具購入費、住宅改修費の各支給限度基準額となっています。
上乗せサービスを行っている市町村はとても限られているようです。
食事の宅配サービスなど、公的介護保険では受けられないサービス
介護保険給付対象外のサービスは、費用の一部を自治体で補助してくれる場合があります。
住宅改修・特定福祉用具の自己負担について
住宅改修
手すりの取り付けや段差の解消、引き戸などへの取り替えなどの小規模な住宅改修は、介護保険の対象となる場合(20万円を限度とした住宅改修工事が1割負担)があります。
ただし、改修前に事前の届け出が必要です。
手すり
廊下・階段・浴室用など 1万円~(工事費別)
階段昇降機
いす式直線階段用 50万円~(工事費別)
レンタルに適さない入浴や排せつなどに用いる特定の福祉用具を指定事業者から購入した場合に限り、介護保険が利用できます。
毎月の利用上限額とは別に10万円を上限枠(4月1日から翌3月末日までで10万円。限度額を超えた部分は全額自己負担)として購入費の9割までが支給されます。
車いす
自走式:4~15万円
電動式:30~50万円
特殊ベッド
15~50万円
※金額は目安
介護に必要と考える資金の考え方
(出典)生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」
介護保険制度の施設、高齢者向け施設・住宅について
高齢者向け施設・住宅には、「公的」「民間」の施設があります。
公的介護保険では在宅介護が重視されていますが、要介護1以上であり、自宅での介護が困難であれば、施設に入所して提供されるサービスを利用することができます。
公的施設サービスには次のような施設があります。
要介護1~5の方が利用できます。
民間の施設と比較して費用が安いので、多くの方が順番待ちをしています。
「特養」は、原則として65歳以上で要介護3以上の方のみが入所できることとなりましたが、やむを得ない事由がある場合は入所できます。
やむを得ない事由とは
①認知症 ①知的障害・精神障害等 ②虐待 ④家族による支援が期待できず、地域でもサービスが不十分な場合
民間施設には次のような施設があります。
サービス付き高齢者向け住宅について
厚生労働省「消費者向けガイドブック」
国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、法律に従って一定の規模等の基準を満たした住宅です。
高齢者が安心して暮らしていけるためにふさわしいハード面と福祉サービス(少なくともヘルパー2級以上の資格者等による安否確認・生活相談サービス)を提供することのできる住宅として、高齢者住まい法の基準を満たす賃貸住宅をいいます。
厚生労働省と国土交通省の共同所管です。
対象者
単身高齢者または高齢者と同居者
60歳以上の者、または要介護・要支援認定を受けている者
同居者は、配偶者、60歳以上の親類等
施設と定員数
(出典)国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」
サービス付き高齢者向け住宅の入居費用
(出典)国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」
居宅サービスについて
介護保険で受けられる介護サービスには、大きく分けて「居宅(きょたく)サービス」と「施設サービス」と「地域密着型サービス」の3つがあります。
要介護1~5の認定を受けた方には「介護給付サービス」が、要支援1・2の認定を受けた方には、「予防給付サービス」があります。
要介護者には、ケアマネジャーが作成するケアプランに沿って介護サービスが実施されます。
介護サービスは、在宅介護が基本とされ、自宅において介護サービスを利用するものを居宅サービスといいます。
訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
②通所系サービス通所施設に通って受けるサービス
通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
③短期入所系サービス通所施設に宿泊して受けるサービス
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護(療養型ショートステイ)
④介護環境を整えるためのサービス
福祉用具貸与
住宅改修費支給
その他
特定施設入所者生活介護
など
(出典)厚生労働省
世帯分離について
世帯分離とは、同じ家に同居していながらも家族間(親子間、夫婦間)の世帯を住民票上分けることを指します。
それぞれ住民票を持つことになりますので、世帯分離を行うと住民票の世帯を分けることになるため、
役所の窓口で書類を提出する必要が出てきます。
世帯分離には「親子間」「夫婦間」がありますが、「夫婦間」はかなりハードルが高いです。
自治体によっては「夫婦間」は認めていないところもあるようです。
重要なのは、それぞれの世帯が経済的に独立していることです。
生計を一にしていない、つまり生計を共にしていないということです。
・それぞれに収入がある
・それぞれに銀行通帳がある
・それぞれの収入を相手の意向に関係なく使える
・食事を別々にとることが多い
〇・・・住民税を軽減するため
世帯分離を行う本来の目的は、所得が少ない親の住民税を軽減すること
×・・・介護保険料を軽減するため(禁句)
一般的には、介護が必要な家族がいる場合は様々なメリットがあるので「要介護の親と同居」「認知症の親との同居を検討中」のような方は検討してみてはいかがでしょうか。
①介護保険サービス自己負担額(上限額)の軽減
介護費用は本人の収入や世帯の収入で決まってきますので、介護度が重いと自己負担額が高くなっています。
②施設入所の食費・居住費の軽減
③後期高齢者医療保険料の軽減
④住民税の軽減
①2つの世帯の国民健康保険料がふえる場合がある
②健康保険の扶養から外れる(扶養は生計を一にすることになる)
③高額介護費の世帯合算ができなくなる
④行政手続きの手間がふえる可能性がある
認知症
認知症は「知ることからはじまる」と言われます。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」では、65歳以上で認知症になる人は
2030年には830万人、2060年には1,154万人に年々増加すると推計されています。
(出典)日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究
2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されています。
政府広報オンラインはこちら
厚生労働省の詳細ページはこちら
軽度認知障害(MCI)の定義
MCIは「認知機能に軽度な障害がある」状態で、健常者と認知症の中間にあたり、日常生活には支障のない状態で認知症ではありません。
MCIの特徴としては、
「物忘れの自覚は多いが日常生活では大きな支障はきたしていない」
という状態で、認知症予備軍と言われています。
MCIから認知症に進行することもありますが、年間約16~41%が回復するというデータもあります。
認知症予防に取り組んでいきましょう
MCI段階で早期のケアが重要で、ポイントとして、以下の5つがあげられます。
成年後見制度についてはこちら
介護休業制度とは
労働者が要介護状態(病気やケガ又は身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態*)にある家族を介護するために家族一人につき3回まで、通算93日を上限に介護休業を取得することができる制度です。
*公的介護の要介護1,2とかをイメージされるかもしれませんが、実際はそうではありません。しかしながら、公的介護の要介護区分でいうと要介護2以上の状態となります。
○ 日々雇い入れられる者は除かれます。
○ 期間を定めて雇用される者は、申出時点において、次のいずれにも該当すれば介護休業をすることができます。
① 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
② 取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
○ 労使協定で定められた一定の労働者も介護休業をすることはできません。
(出典)厚生労働省
アベノミクス新3本の矢のひとつが「介護離職ゼロ」という方針です。
実際、介護や看護のために離職した人は年間10万人といわれています。
介護と仕事を両立する会社員は、育児・介護休業法で定められた介護休業を取得することができます。
要介護者の家族1名につき通算(最大)93日まで取得できます。
この期間に家族で介護方針等を決めていっていただくための時間としていただければと思います。
休業中に支給される介護休業給付金は、休業前賃金の67%。
(出典)厚生労働省「仕事と介護の両立支援制度(育児・介護休業法について)」
介護休業給付金について
配偶者や父母、子等の対象家族を介護するための休業を取得した被保険者について、介護休業期間中の賃金が休業開始時の賃金と比べて 80%未満に低下した等、一定の要件を満たした場合に、ハローワークへの支給申請により、支給されるものです。
介護休業給付金は、一定要件を満たすことで給付を受けることができます。
・雇用保険に加入していること(給付金は雇用保険から支払われる仕組みです)
・介護休業開始日前2年間に11日以上就業した月が12か月あること
・職場復帰が前提になっていること
支給額は、賃金が支払われている場合、支払われていない場合の差がありますが、
日額×(最大)93日×67%・・・上限額あり
支給上限額 347,127円
支給限度額及び最低限度額は、毎年8月1日に変更される場合があります。
事業主がハローワークに申込を行うことになっています。
【ご確認ください】
雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。
詳しくは、お近くのハローワークにご確認ください。
93日の使い方
介護休業は、実際に「ご家族の介護をするために使う」というよりは、「様々な手続き」に使うことが目的とされています。
会社員が利用できる介護のための制度
単身者のシングルライフプランニングは、このような将来も考慮していきましょう。