支払保険料の取り扱いについて

2019年7月に定期保険・第三分野保険に係る保険料の取扱などに関する法人税基本通達が改正され、それ以後の経理処理が変更されています。
2019年7月8日以前の契約は従来通りの取扱です。

最高解約返戻率が50%以下の場合

全額損金算入となりますので資産計上の必要はありません。
解約返戻金相当額のない「定期保険または第三分野保険」(※1)は、支払いの都度損金になります。
(※1)当該事業年度に支払う一人の被保険者の保険料が30万円以下の場合に限ります。

最高解約返戻率が50%超70%以下


保険期間の当初4割の期間に月未満の端数が発生する場合、月未満の端数は切り捨てます。
年払契約の場合、その1年間に資産計上期間が終了する場合は、保険料を12で除した金額に、資産計上期間の月数を乗じた額を資産に計上し、残額を損金算入する処理が必要となります。
 
保険期間の当初4割の期間を経過した後、当期分の支払保険料の全額を損金算入することができます。
ただし、当初4割期間に資産計上した額は保険期間の3/4まではそのままで、3/4が経過した後(27年)に均等に取り崩しを行います。
つまり、保険期間全期間で損金算入となります。
 
特例
被保険者1名につき、最高解約返戻率が50%超70%以下で、年換算保険料(総払込保険料÷保険期間)が30万円以下の契約は、期間の経過に応じて全額損金算入

最高解約返戻率が70%超85%以下


保険期間の当初4割の期間は、資産計上割合6割となります。
(最高解約返戻率50%超70%以下の場合は4割)

最高解約返戻率が85%超

資産計上期間
まず、設計書記載の解約返戻が最高となる期間までが資産計上期間となります。
次に、設計書に記載される最高解約返戻率だけではなく、その後の解約返戻金の増加について確認しなければなりません。
当年度の解約返戻金から前年度の解約返戻金の差額をだし、その差額が年換算保険料に対して70%超となっていれば、その期間は資産計上期間となります。
例外として、保険期間10年未満の契約は保険期間の1/2の期間で資産計上し、最高解約返戻率が5年未満となる契約の資産計上期間は5年です。
 
資産計上割合
契約~10年・・・「支払保険料×最高返戻率の90%=資産計上」
契約11年目以降・・・「支払保険料×最高返戻率の70%=資産計上」
※資産計上割合が100%を超える場合は、当期分の支払保険料が上限です。
 
取崩期間
解約返戻金額(率ではない)が最も高い期間から保険期間の終了日まで、資産計上した金額を均等に取り崩します。
(資産計上期間は解約返戻”率”のピークで判定)

短期払の定期保険または第三分野保険について

解約返戻金のない保険料払済タイプ(ごく少額の返戻金のある契約を含み、保険料払込期間が短期払込のものに限る)の契約商品は、当該事業年度の支払保険料が30万円以下であるものについては、保険料を払い込んだ都度損金算入可能です。(例外的取り扱い)
被保険者1名につき、複数の契約(複数の保険会社含む)に加入している場合は、それらはすべて通算されます。
契約日が2019年10月8日より前にある契約については従前の取り扱いが適用されます。
 
新税制では、保険期間が終身の第三分野の保険は、計算上の保険期間の満了年齢を116歳として経理処理を行う金額を算出します。
短期払契約の年換算保険料は、総支払保険料(年間保険料×年数)を保険期間(116歳ー契約年齢)で除します。
ただし、上記にあるように30万円以下の例外規定は当該事業年度に支払った保険料となっています。
 
例外的な取り扱いは、福利厚生制度(第三分野の全員加入プラン)での事務負担に配慮されてのことですが、事業年度の途中で同一被保険者の保険契約が増加するケースなども考えられますので注意が必要です。

短期払の保険料の損金算入方法は2種類

上記のように、法人契約において、短期払で保険料を払い込む場合、
①期間の経過に応じて損金算入
②払込の都度損金算入

の2種類の方法があります。
 

・法人向保険商品は、保障等を目的としてご検討いただく商品です。
・支払い保険料を損金算入しても、保険金や解約返戻金等は受取時に益金算入されるため、課税タイミングが変わる課税の繰り延べにすぎず、原則、節税効果はありません。
・税務の取り扱いなどについては、2019年7月現在の税制・関係法令などにもとづき記載しています。今後、税務の取り扱いなどが変わる場合もあります。なお、個別具体的な税務取り扱いについては、関与税理士または所轄の税務署にご相談ください。

  

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