会社と役員との間で資産の売買をする場合
法人と役員間の資産(不動産等)の売買は、会社法上の自己取引行為になるため、取締役会の承認等、会社法上の手続きを守らないといけません。
同時に、税務上も疑惑をもたれることが多いので、行為の経済的合理性と適正な時価の算定が基本で、売買契約書や議事録の作成、登記等も重要です。
法人の資産を低額譲渡(時価取引でないと税務上のリスクが発生することも)した場合、法人側では時価と取得価額の差額は売却益、時価と売却価額は役員給与となります。
役員側は所得税対象となります。
法人が役員の資産を低額で買い入れた場合、法人側に時価との差額が受贈として計上されます。
基本的には、譲渡時における時価より低い価額で役員が低額譲渡したとしても譲渡所得に基づき所得税が課税されます。
譲渡時の価額が1/2未満だった場合、役員には当該時価により譲渡したものとみなされて所得税が課税されます。(みなし譲渡)
法人が高額で買い入れた場合は、時価との差額は役員給与となります。
法人の役員に対する贈与・低額譲渡の取扱い
これには、個人事業者の自家消費と法人がその役員に対して行う資産の贈与及び著しく低い価額による譲渡があります。
このコードでは法人と役員との取引について説明します。
1 法人が課税資産をその役員に対して贈与した場合
課税資産を役員に贈与した時におけるその資産の価額、すなわち時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。ただし、棚卸資産を贈与した場合において、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められます。
2 法人が課税資産をその役員に対してその資産の価額に比べて著しく低い価額により譲渡した場合、すなわち低額譲渡した場合
法人の役員に対して著しく低い価額による課税資産の譲渡があった場合には、実際に役員から受領した金額ではなく、その譲渡の時におけるその資産の価額、いわゆる時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。
この場合の、その資産の価額に比べて著しく低い価額により譲渡した場合とは、その資産の時価のおおむね50%に相当する金額に満たない価額により譲渡した場合をいいます。
なお、その譲渡された資産が棚卸資産である場合で、その棚卸資産の譲渡金額が、その資産の仕入価額以上の金額で、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額であるときは、著しく低い価額により譲渡した場合には該当しないものとして取り扱われます。
ただし、法人が課税資産を役員に対して著しく低い価額により譲渡した場合でも、その資産の譲渡が、役員及び使用人の全部について一律に又は勤続年数などに応じて合理的に定められた値引率に基づき行われた場合は、時価ではなく実際の対価の額により課税されます。
(平成31年4月1日現在の法令等によっています。)
(出典)国税庁