平成29年改正(平成30年4月等施行)、公的介護保険制度の主な改正ポイント

平成30年度改正は、地域包括ケアシステムの構築のための強化が行われました。
同時に、介護医療院、高齢者・障害者(児)が一緒に利用する共生型サービスなどの制度が創設されました。

(出典)厚生労働省

自己負担について

介護サービス利用者数の増加もあり、負担割合の区分が見直されました。

特に所得の高い方は3割負担

一般の被保険者
 
1割負担
年間所得が160万円以上
年金収入だけなら単身で年280万円以上、2人世帯で年346万円以上
 
2割負担
特に所得の高い層
65歳以上の方で、合計所得金額が220万円以上の方です。
ただし、合計所得金額が220万円以上であっても、世帯の65歳以上の方の「年金収入とその他の合計所得金額」の合計が単身で340万円、2人以上の世帯で463万円未満の場合は2割負担又は1割負担になります。
 
3割負担

 

(出典)厚生労働省

高額介護サービス費の自己負担限度額引き上げ


(出典)厚生労働省 老健局 総務課「公的介護の現状と今後の役割 平成30年」より
 
高額介護サービス費とは、同じ月に利用した介護サービスの1割~3割の自己負担額合計が、一定の限度額を超えた場合は申請により払い戻しが受けられる軽減措置。
その限度額が、44,400円となりました。
従来は、37,200円。
※所得基準により金額は異なります。

保険料の見直し

第1号被保険者の介護保険料は、所得額に応じて標準的に9段階で設定されています。
第2号被保険者から徴収する保険料は「介護納付金」として、医療保険者が一括納付しています。
この算出方法を被用者保険(健保組合、共済組合、協会けんぽ)間では、加入者数に応じた負担から報酬額に比例した負担(=総報酬割)に移行します。

これにより、大幅な負担増となるケースも考えられます。
その緩和策として、平成29年度より段階的に総報酬割が導入されていますが、令和2年度からは全面導入となります。

施設サービスの見直し

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設として役割が厳格化され、原則として、新規入所者は要介護3以上の人に限定することになりました。(従来は要介護1以上)
既入所者は除きます。

特別養護老人ホームとは、常に介護は必要で、在宅では介護が困難な人を対象とし、日常生活上の世話や機能訓練を受けるための施設。

以下の介護施設の入所基準は、要介護1以上です。
 
・介護老人保健施設
 
・介護療養型医療施設

低所得者の保険料軽減・補助要件の見直し

通常、50%の税金が投入されている公的介護保険制度ですが、低所得者に対する保険料負担の軽減措置が最大5割から最大7割に見直されています。
 

(出典)厚生労働省

全国一律の予防給付を多様化

予防給付は、地域支援事業へ移行されていますが、NPO、民間企業、社会福祉法人、ボランティア等による多様なサービスの提供も可能となりました。

低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加

施設入所などにかかる費用のうち、食費および居住費は本人の自己負担が原則となっていますが、住民税非課税世帯である入居者については、補足給付支給によりし負担軽減がされています。
しかし、次の要件が追加されました。

一定超の預貯金
・単身では、1千万円超程度
・夫婦世帯では、2千万円超程度
がある場合は、給付の対象外

世帯分離が行われた場合でも、配偶者が課税されている場合は、支給の対象外

非課税年金(障害年金・遺族年金)を収入として勘案する

令和3年8月から在宅で暮らす方との食費・居住費にかかる公平性や負担能力に応じた負担を図る観点から一定額以上の収入や預貯金等がある人には、食費の負担額の見直しが行われています。
以下のようになっております。


*生活保護受給者や老齢福祉年金受給者等の負担額は、食費・居住費とも以前のまま(390円、650円)です。
*預貯金に含まれるものは、「預貯金」「有価証券」「金・銀」「投資信託」「現金」で、含まれないものは、「生命保険」「車」「腕時計」「宝石」「絵画」等です。

高額介護サービス費の自己負担額について

令和3年8月から一定年収以上の高所得者世帯について負担額が以下のようになっております。

          (出典)厚生労働省
 
*上表の新設部分・・・介護サービスの利用者または同一世帯に課税所得380万円(年収約770万円)以上の65歳以上の人がいる場合の話です。

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