「アメリカと比較して・・・」論者のおかしさ

日本はアメリカと比較して

このキーワードを使って投資をすすめる話、すすめる人が多いです。
このキーワードの根拠は下の資料なんですね。


(出典)「資金循環の日米欧比較」(2019年8月29日、日本銀行調査統計局)より

 
知っておくべき情報があります。
米国高齢者(世帯主の年齢65~74歳)の「金融商品保有額ー借入金残高」の中央値は約190万円とあります。
(「日本版ISAの道 その269」三菱UFJ国際投信株式会社、2019年6月17日)
 
日本はどうか?
純貯蓄額(貯蓄ー負債)の平均値は2,120万円(60~69歳)・2,145万円(70歳以上)とあります。
(総務省統計局「家計調査報告2018年 二人以上世帯」)

アメリカは日本の人口の約2.6倍の人口ですが、超富裕層(5千万ドル超)についてはアメリカは日本の19.7倍とのことです。
(「日本版ISAの道 その269」同)

アメリカの保有資産残高は、”超”がつく富裕層が、その貯蓄残高や有価証券保有額を引き上げています。
金融機関の専門家は当たり前のように知っている事実です。
このことは、『アメリカ人の資産形成を真似する必要はない?』の中でも指摘しています。
 
また、トマ・ピケティ『21世紀の資本』でも明らかになっておりますが、アメリカはとんでもない格差の国です。


(出典)「21世紀の資本」(みすず書房)より

 

アメリカ 50歳代の401(k)プラン加入者の資産残高の中央値について

賃金10万ドル超・・・42万852ドル
賃金2万ドル~8万ドル・・・17万4,458ドル
賃金2万ドル~4万ドル・・・7万8,077ドル
 
(出典)「入門アメリカ経済Q&A100」(中央経済社)より

 
日本とアメリカは働き方だけでなく、社会保障制度にも差があります。
まずはそのようなことも知り、ライフプランニングおよびマネープランニングを考えていくことが必要だと思いますが、残念ながら巷間「投資だ!投資だ!」と投資をさせることが前提になった話が多すぎます。
 
困ったものです。
 
投資というのは、自己責任原則論が適用されます。
であるならば、投資をすすめる側は日本のこともアメリカのことも知って、正確な情報発信をしていくべきではないでしょうか。

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